
「有機栽培」とは、「化成肥料」や「化学合成農薬」そして「遺伝子組換技術」を用いず、 地域資源を有効活用したり、自然の中で循環する環境負荷の少ない資材を選択する、 持続可能なかたちを目指す栽培方法です。 ★化成肥料 植物がとくに必要とする元素は、窒素(N)、リン酸(P)、カリ(K)の三要素です。 化成肥料はこれらの元素を効率よく吸収できる「無機態」で含むよう、 工業的に製造されたものです。 なかでも最も必要とする肥料分は「窒素」ですが、化成肥料の窒素は 天然ガスなどのエネルギー資源を用いて製造されます。 他の2要素(P、K)も、限りある資源から取り出されています。 こういった資源は永久・無尽蔵に使えるものではありません。 それに比べ、有機肥料や堆肥といった有機物資材は、一旦生物に取り込まれた 養分を再利用します。自然のなかを循環する資材を有効活用する、 それが有機農業の大きな特徴の一つです。 ★化学合成農薬 野菜を栽培するにあたり、病気や虫の害を「完全に」防ぐのは難しいものです。 しかし一般に流通する野菜は、見た目で値段が決まってしまうことが多いので、 いかにきれいなものをつくるかが、農家にはすごく重要になっています。 そこで、化学合成した薬品で、トラブルの元を完全に押さえこむ、というのが 農薬使用の発想です。 しかし、こうした薬品が人体や生態系に影響がない、と言い切るのは 難しいのです。最近の農薬には安全性の高いものが増えていますが、 それは適正な使用をした場合で、効き目が悪くなってきたらだんだん濃くしたり、 そういう可能性とも背中合わせです。農薬は「麻薬」のようなものですから、 一度使いだすと、「予防的に」それにずっと頼ってしまう傾向もあります。 有機農業は、食べる人、そして何より農家自身の健康のために、 農薬使用を止めるところから始まります。無ければ無いでなんとかする。 防虫ネットを使ったり、天敵昆虫を活用したり、栽培管理の腕次第で、 農薬を全く使用しなくても、きれいな野菜をつくることは可能です。 目先の経済効率ばかりを考えるのではなく、自然に対して、あるいは 食べる人・作る人に対して、不要なリスクは負わせないようにする。 安易な方法で押さえこむのではなく、昆虫や病気の生理をよく学び、 自然と知恵比べをしていくこと自体にひとつの「価値」を見出すのです。 ★遺伝子組み換え技術 最近、世界では米国を中心に、栽培管理を楽にするために、 遺伝子組み換えした作物の利用が相当進んできています。 除草剤を散布しても枯れないトウモロコシや大豆の普及により、 主要穀物の生産効率は飛躍的に伸び、安定供給が可能になったとされます。 しかし、こうした技術の陰で起こる、環境や人体への影響の評価は、 充分になされているとは言い難いです。除草剤のような農薬の大量散布や、 遺伝子組換作物が各地で野生化して雑草化し、交配が進むこと等、 生態系への影響については、全く未知の世界と言わざるを得ません。 目先の利益のために、大きなリスクを冒していくことに対し、 「そもそも、それは私たちにとって本当に必要なのだろうか」、と問う、 「エシカル(倫理的)」な姿勢が、有機農業には含まれています。 ちなみに、こうした世界の状況については例えばFood,Inc.という 映画でも紹介されています。
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